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54話 宣戦布告と王国の終焉

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-11-14 06:00:15

 ミリアの雰囲気が、今までは少し怒っていて平然と冷静に対応をしていた感じだったが、今は、ユウヤが監禁されている不安と、早く助けなければと焦り、それに対する怒りが混ざった表情になっていた。

「貴方……何をしたのか理解していますの?」

 また怒ったミリアの表情を見ても、レスニーが平然とした態度で答えた。

「どうせ、そちらの二人の王女の婚約者候補じゃないのかな? 余計な婚約者候補に居られると迷惑ですし楽しい食事と会話の邪魔ですし、見るのも不愉快ですので別室でおもてなしをさせて頂いてます。私がお二人の王女の正当な婚約者になるんで、そんな不要な婚約者候補は必要ないのでご退場いただきました」

「違いますわ……わたしの婚約者ですわよ」

 ミリアは、怒りに震える声で言い放つ。

「はぁ? あんな男がですか? 皇女である貴方が、あのような男をお選びに?」

 レスニーがバカにした様な笑みを浮かべて言うと、ミリアが怒った表情で護衛に指示を出す。ミリアの表情で察した護衛達がレスニー王子を捕らえ、もう一人の護衛がミリアから手紙を数枚受け取り、外へ走って部屋を出て行った。

「この王国の第一王子の私に、この様な無礼な事をしてただで済むと思うなよ!」

 レスニーは、捕らえられながらも叫んだ。

「何を勘違いをしているのか知りませんが……貴方は、もう王子ではありませんわよ」

 ミリアは、冷たい声で静かに言い放った。ミリアは、皇女の婚約者誘拐と、他国の王女の誘拐と監禁の罪でレスニーを罪人として捕らえた。国王もそれを加担している可能性があり、また阻止できなかった罪がある。場合によっては、国王の座を剥奪することも考えていた。

「お前こそ何を勘違いをしているんだ? 私の父は国王だぞ!? 最強の国王なんだぞ!? しかも帝国の支配国の王国で一番の軍事力を持つんだぞ! 分かっているのか!?」

「ですから何ですの?」

 ミリアが平然とし冷たい目でレスニーを見つめて答えた。

「だから帝国の支配国の王国で一番の軍事力を持っている

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